東京地方裁判所 昭和39年(ワ)8371号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕<証拠>を総合すると、昭和三八年七・八月頃被告の総務部長である訴外近沢辰雄は、被告を代理して、原告から金一六〇万円を弁済期同年一〇月七日の約で借りうけ、現金の交付をうけたこと、右訴外人は、右借りうけの日、右貸金の弁済の担保として別紙第一目録記載の被告名義の株券を原告に交付したこと、右株券の交付に際しては、もし被告が弁済期に貸金の弁済をしなかつたときは、被告は右株式を原告に譲渡する旨の黙示の合意があつたこと、および被告は弁済期に右貸金の弁済をしなかつたことがそれぞれ認められる。
ところで、原被告間に、本件株式の譲渡は裏書によつて行なうとの合意があつたとの事実は、本件全立証をもつてしても認められないので、右株式の譲渡方法について、原告に選択権があつたかについてみるに、前記認定の事実にみられるとおり、本件のように、将来株式が譲渡されることも予想して株券を交付する場合においては、譲渡人はその株式の譲渡方法についての選択権を譲受人に与える旨の黙示の合意があつたものとみるべきである。(服部高顕 西山俊彦 元木伸)